NPO/NGOのソーシャルメディア広報戦略(2)

8 11月

11月8日(火)の第8回「スマートシニアNPOチャレンジスクール」は、第6回に引き続き、「ソーシャルメディア活用団体のヒアリング 」をテーマに、「WE21ジャパン」、「日本ブラインドサッカー協会」の2団体よりご担当者をお招きし、NPOのソーシャルメディアの広報戦略および実際の活用事例をヒアリングしました。


今回はNPOの現場で、
特に動画を中心としたソーシャルメディアをどのように活用しているかを伺い、これまでに学んだ国内外の活用事例の比較等を重ねることで、「ソーシャルメディア運用サポーター」として必要な知識をより深めていきました。

「ソーシャルメディア活用団体のヒアリング」講演団体
WE21ジャパン http://www.we21japan.org/
日本ブラインドサッカー協会 http://www.b-soccer.jp/


市民メディアによる神奈川とアジアの結び方

講師:特定非営利活動法人 WE21ジャパン 森田夕紀
http://www.we21japan.org/

WE21ジャパンは、地球に住み暮らすあらゆる人々が、生きるために必要な条件や権利が公正なルールによって保障され、自律した地球市民として行動できる社会の創造をめざしています。また、地球規模で起きている資源の奪い合いや環境破壊・貧困をなくし、環境や人権について考え・行動する市民を地域に拡げ、そして次世代へ希望ある市民社会をつなぐために、一人ひとりが身近にできる事から実践することをミッションとして掲げています。

これを実現するために、WE21ジャパンは、市民から寄付された衣類や雑貨の販売をするリユース・リサイクルショップ「WEショップ」を運営しています。神奈川県下の55店舗の「WEショップ」を拠点に、WE21ジャパン関連の地域NPOと連携。生活者が住むまちでリユース・リサイクルを進める(啓発)とともに、「WEショップ」の売り上げを、アジア地域の人々の生活向上支援金として充てています。「WEショップ」の店内には世界の現状を伝えるパネル展示や、アジアの支援先住民リーダーの来日講演など学ぶ場をつくり、民際支援を展開している事業型NPOです。

1998年の団体立ち上げ時は、広報活動よりも組織経営の安定化がしばらく優先事項でした。2005年を境に広報活動に力を入れ、地域NPOニュース・チラシの充実化を目指し、会員向けニュースを開始しました。また並行して地域の学校とのつながりを強化するなど、「ひと回り外、市民への広報」を意識した時期といえます。2009年にはニュースの編集やポスター作成やブログ編集等の広報研修を開催。2010年にイベント中継・録画映像配信。2011年にホームページの改定、Twitterを開始するなど、インターネットを活用した、まとまりのある広報活動に積極的に取り組んでいます。

 オンライン広報メディアとして、ホームページ、ブログ、Ustream、Twitter、Facebookの5種類のツールを使用しています。特に動画を生中継配信をするUstreamは、専用チャンネルとして「おれんじチャンネル」を開設しました。「WEショップ」の店内や働いている人の様子が非常にわかりやすく発信されています。効果的に発信できる反面、課題もあります。以前は月1回のペースで生中継をしていましたが、撮影場所・人が都度対応が必要となったり、動画配信作業工程に半日近くかかるなど、大きな負荷があります。現在では編集動画の作成に傾注し、YouTubeの専用ページでまとめています。

 また、今後の広報活動において力を入れていく分野として、次のものが挙げられます。

・団体活動の広報・発信の強化
・WE21ジャパンの活動だけでは普段出会えない人たちとの交流の機会
・動画配信で活動への共感を高める
・WE21ジャパン・グループ内の情報共有・伝達をスムーズにする

動画配信効果を最大限にするソーシャルメディア戦略

講師:日本ブラインドサッカー協会 井口健司、植原正太郎
http://www.b-soccer.jp/

日本ブラインドサッカー協会は、2002年10月に設立された、日本のブラインドサッカーを統括している組織です。ミッションは、ブラインドサッカーに携わるものが障害の有無にかかわらず、生きがいを持って生きることに寄与すること。国内におけるブラインドサッカーの普及、育成、強化事業を担うほか、世界大会やパラリンピックへの派遣も担っています。ブラインドサッカーとは、視覚障害者が音の鳴るボールを使い、声を頼りに敵や味方の位置を把握し、ゴールを目指すサッカーです。視覚障がい者と健常者が同じフィールドでプレーすることのできるユニバーサルスポーツです。ブラインドサッカー世界選手権もあり、日本も代表選手が出場しています。

日本ブラインドサッカー協会の広報戦略を支えているのは、インターンの植原さんです。社会的に意義のある事業に取り組んでいるにもかかわらず、NPOはうまく情報発信できていない。この問題意識が植原さんを動かし、日本ブラインドサッカー協会の広報活動を強力なものにしています。


またインターン活動に加えて、Social Web for GOODをテーマに、社会をもっといい方向に変えていくようなSNS/Social Mediaのあり方についてブログで情報も発信されています。【little_shotaro’s blog:http://www.littleshotaro.com/


「日本ブラインドサッカー協会」では、Webサイト、Twitter、ブログ、Ustream、Facebookの5つのソーシャルメディアを活用しています。

Webサイト

公式サイト、ファンサイト、大会サイト、ストアサイト、スポ育サイトの5つのサイトを運営しています。支援者とのつながりを生むのが公式サイト、ファンサイト、大会サイト。ストアサイトはブラインドサッカーの競技実施に必要な特殊な用具や備品を販売しています。一般的には市販されていない、あるいは入手が困難といった事情があり、ブラインドサッカーをプレーする選手やサポートするスタッフ、また、体育や体験学習で取り入れてみたい教育関係者の方々が気軽に用具を購入できます。スポ育サイトでは、小中学校におけるブラインドサッカー体験型授業の概要説明や、講師派遣依頼の申込ができるようになっています。「日本ブラインドサッカー協会」に講師派遣を小中学校が申し込めるサイトです。


Twitter


2010年3月に運用を開始。現在では複数人体制のTwitter担当者で運営しており、協会の主力ツールとなっています。1年半でツイート数は5811件、1日平均約10ツイートを情報発信しています。イベント告知や現地レポート、ファンとの会話やスタッフ募集等にTwitterを活用しています。さらにTwitterのコミュニケーションで強化しているのは、マスメディア反響の対応です。現在(2011年10月~)日本テレビのNews Zeroにおいて、2~3週間に1回の割合で特集が組まれています。番組放映後、ブラインドサッカーがTwitter上で話題にされているかチェックし、言及のあったツイートには、お礼を添えてすぐに返信しています

対価を払ってTwitterのフォロワー数を増やすサービスや、特定のワードを含んだツイートを自動でフォローするツールがありますが、協会では真心をこめて会話を重ねアプローチも積極的な姿勢で臨んでいます。マスメディアの反響対応のピックアップのような地道な取り組みこそが、広報活動におけるTwitter活用のポイントといえるでしょう。

ブログ


 3種類のブログを運営しています。(1)ブラインドサッカーファン向けの日本代表選手のブログ。(2)イベントレポートや事務局スタッフ紹介などを一般の支援者向けに発信する事務局スタッフブログ。(3)事務局長ブログでは、事業のビジョンやミッションなどをNPO支援者向けに発信しています。

Ustream


日本ブラインドサッカー協会の秘密兵器がUstreamです。国内大会・国際大会の配信に利用しています。昨年8月の世界選手権では、合計のべ視聴者数が4,165人、合計のべ視聴時間が1,692時間を記録し、特に日韓戦では瞬間最高視聴数が498人にまで達しました。
 http://www.ustream.tv/user/JBFA_b_soccer/videos

この配信成果として、純粋なサッカーファン層を取り込むことができたとともに、Twitterとの連携で、多くのブラインドサッカーファンが生まれることになりました。ただ動画配信をするだけでなく、サッカー業界の著名人などのインフルエンサー(情報発信力のある人物)を巻き込む魅力的な映像を配信するといった取り組みがそうした成果を生み出した要因といえます。Ustreamを活用した広報活動の押さえておくべきポイントです。

Facebook


2011年3月からFacebookページを運用を開始し、支援者のコミュニティとして機能し始めています。Facebookは「いいね!」を獲得してはじめて、自分のネットワーク内の人々が投稿を閲覧できる仕組みです。投稿内容については吟味の上、「いいね!」が得られるものを掲載していくことが、Facebook運用のコツです。さらに、Facebook内での会話を盛り上げることで「コミュニティ化」をはかり、ブラインドサッカーの外にある、自分のネットワークを巻き込むことができると、さらにFacebookページの運用成果は高まります。

この12月にはパラリンピックロンドン大会のアジア最終予選となる「アジア選手権」が宮城県仙台市で開催されます。前回の2009年のアジア選手権では主要テレビ局、新聞社を含め、3ヶ月間で200件を超える取材に取り上げられています。今大会ではそれ以上の露出を目指すと共に、その露出による影響力を「日本ブラインドサッカー協会」としての組織基盤の強化につなげていきたいとのことです。

発表頂いた「WE21ジャパン」、「日本ブラインドサッカー協会」ともに、若い世代の方々が、各団体の広報戦略のキーパーソンとして、ご活躍されています。その姿を目の当たりにし、受講生の皆さんから、「大変刺激を受け、元気を頂いた」との声が多数寄せられたご講演となりました。

(NPOサポートセンター インターン浅水智成

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