NPO/NGOのソーシャルメディア広報戦略(1)

1 11月

11月1日(火)の「スマートシニアNPOチャレンジスクール」第6回研修は、「ソーシャルメディア活用団体のヒアリング 」をテーマに、「エイズ孤児支援NGO・PLAS」、「セカンドハーベスト・ジャパン」の2団体より事務局長/広報部長をお招きし、NGO・NPOにおけるソーシャルメディアの広報戦略および実際の活用事例をヒアリングしました。

第4回、第5回の研修ではTwitterやFacebookの操作方法を学び、オンライン上で受講生の皆さんがお互いにコミュニケーションをとっています。研修時間外もソーシャルメディアを駆使した双方向コミュニケーションを楽しんでおります。

ここからは新鮮な体験に加え、NPO・NGOの現場でソーシャルメディアをどのように運用しているかを伺い、また質疑を通して、受講生の皆さんが今後、インターンシップにおいて業務に携わる際の事前情報・イメージ獲得を目的としています。「ソーシャルメディア運用サポーター」としての第一歩です

NPOseniorChallenge#6-1

「ソーシャルメディア活用団体のヒアリング」講演団体
エイズ孤児支援NGO・PLAS http://www.plas-aids.org/
セカンドハーベスト・ジャパン http://www.2hj.org/


支援者獲得に繋がるインターネットの広報戦略とは

講師:エイズ孤児支援NGO・PLAS 事務局長 小島美緒
http://www.plas-aids.org/

エイズ孤児支援NGO・PLASは、HIV/エイズによって片親もしくは両親を失った子どもたちが、継続的にサポートされる社会を目指して活動している、国際協力NGOです。「エイズ孤児を支えることができる地域づくり」を大切に活動されています。
現在はウガンダ共和国、ケニア共和国の2ヶ国で現地団体と共に活動しており、エイズ孤児が多く通う小学校を中心に、エイズ孤児の就学サポートや学校建設、農業事業、エイズ啓発などを行っています。

PLASの「インターネットを活用した広報戦略」は、寄付者獲得の施策としてドナー(寄付)ピラミッドを強く意識しています。ドナー(寄付)ピラミッドとは、サイトの閲覧者からFacebook登録者・Twitterフォロワー者、メルマガ登録者、イベント参加者、寄付者に至るまでの組織の貢献度を段階ごとに記したものです。

また、25歳から39歳の大中企業勤務の男女をターゲット層として設定し、その層のFacebookやTwitterの登録者を、いかにドナー貢献者に誘導するか。ターゲットへのファンドレイズ(資金調達)戦略を立てる上で、インターネットは有力な広報ツールとなっています。


その有力な広報ツールについては、以下の5つを挙げることができます。

1.団体ホームページ
団体ホームページは活動実績を明示しやすく、更新頻度を週1~2回としています。また、ホームページ上では寄付への導線と、寄付の使い途を明確化。ここにソーシャルメディアやメルマガなどの他チャンネルへの導線を設けることで、団体への信頼度の向上・維持、ドナーピラミッドのステップアップを図ることができています。

2.メールマガジン
月2回とキャンペーン時期などに号外を発行。読みやすさや文調には気を配っており、読み手を意識した文章にしています。ホームページ、TwitterやFacebookなどの他チャンネルへの導線を設けており、PLASとの関わりを持っている人々との関係維持に、大きな役割を担っています。
3.外部サイト
イベントの広報・集客用に約20の外部サイト(掲載先)を利用しており、広報内容やターゲットによって掲載先を選定しています。
例:学生が集客ターゲットの場合はmixiを使用するなど。

4.動画
インパクトを持って伝えることができる媒体。団体ホームページ等に組み込んだり、イベント時の上映などにより、プラスの活動をこれから知る人を含め、多数の人に広く効果的に伝達することができます。

5.寄付サイト
Just Givingを積極的に活用し、事務局スタッフをはじめ、ボランティア、プロボノも含めてチャレンジに参加し、団体の関係者が一丸となり、寄付の新しいカタチに挑戦しています。PLASの「人」に共感してもらう上で、チャレンジの進捗報告をまめに行ったり、寄付してくれた人にすぐにお礼をするなどのプロモーション方法を重視しています。


PLASでは広報の現状分析をし、試行錯誤する中で次のような課題に気づきました。
・オンラインでつながった人をイベント参加者や寄付者に、いかに引き上げるか。
・コミュニケーションを円滑にすることによって、寄付につながりやすくなる。オンライン上での更なるコミュニケーション改善の余地がある。

PLASの支援者とのオンライン上のコミュニケーションにおける課題を分析した結果、TwitterやFacebookの活用が効果的であると判断しました。

Twitterの活用
イベント参加のきっかけとして一番割合の高かったTwitterにおいて、次のように運用上の工夫を重ねて活用しています。

・個人的な思いを素直にツイートする。
・全スタッフの名刺、ホームページ上にアカウントを掲載する。

「PLAS」や「ケニア」「ウガンダ」「エイズ孤児」等のキーワードをモニタリングし、自団体に関わるTwitterでの話題をキャッチアップ。モニタリングにwebサービスのHootsuiteを活用し、一層のコミュニケーション形成を図る。

 またFacebookの活用にあたっては、
・写真と一緒に投稿することでレスポンスを促す。
・イベント時にはイベント作成機能を利用し、参加してほしい人を招待する。
などの工夫をはかっています。

このようにTwitterやFacebookを積極的に活用することで、ドナーピラミッドの裾野を拡大させることができ、オンラインからオフラインへ支援者を誘導することができました。ソーシャルメディアは広報における組織課題の一つの解決方法として、大変効果的なツールといえます。TwitterやFacebookの利用を目的化することなく、ファンドレイズ戦略を達成するために、ソーシャルメディアの活用をいかにデザインするか、目的と役割を明確にすることが肝要です。

広報は宣伝だけでなく“関心や価値観の繋がりを生む”

講師:「セカンドハーベスト・ジャパン」広報部長 井出留美
http://www.2hj.org/

セカンドハーベスト・ジャパンは2000年に日本で初めて、本格的にフードバンク活動を始めたNPO法人です。日本には、安全で十分な食事が得られない「フードセキュリティ=食糧確保」に欠けている人々が75万人以上います。一方で、賞味期限内で全く問題の無いのにも関わらず廃棄される食品は昨年度で年間500万~900万トンに及びます。セカンドハーベスト・ジャパンは、新たに食品を購入するのでは無く、すでにある食品を受け取り、日本全国の生活困窮者の生活支援を行っています2009年には、約500社から食品の提供を受け、関東中心とした全国約500の福祉施設や団体に食品の提供を行うだけでなく、日本全国のフードバンクと連携し、フードセーフティネット構築の中心的な役割を担っています


セカンドハーベスト・ジャパンでは、ホームページを窓口として、活動に必要な「食料」・「備品や機材」に加え「お金」・「時間」の寄付を受け付けています

「お金」の寄付
東日本大震災の支援では、今後2年間に渡って被災地において、地元の支援団体と協力し、被災者のためのフードライフラインとフードセイフティネットを構築していく長期的な復興支援を目指しています。その2年間において約8000万円のコストを見込んでいますが、今年5月発表の時点で5000万円以上の募金が集まっており、引き続き支援者から協力をいただいております。
さらに、東日本大震災の被災地支援キャンペーン「お正月ニッポンプロジェクト」に、セカンドハーベスト・ジャパンはその寄付金先として参加しています。このキャンペーンは趣旨に賛同した人による、Twitter公式アカウントのフォロー数、公式Facebookページへの「いいね!」数に応じて、一人あたり100円がプロジェクトより寄付される仕組みです。

「時間」の寄付
「時間」の寄付はボランティア活動を指しています。母子家庭や、外国人の家庭へ直接宅急便で食品を送っているハーベストパントリー活動において、重要な役割を担っている「フードドライブ」ボランティア活動。他にも食品の引取、上野公園での炊き出しプログラム等でボランティアを募集しています。

ソーシャルメディアの活用
セカンドハーベスト・ジャパンでは、ソーシャルメディアでも、特にTwitter、Facebookを積極的に活用しています。ボランティアを急遽募集する場合などの緊急性の高い告知対応に、Twitterを利用することが多いですが、それ以外にも、震災支援報告などのホームページ更新通知といった、他チャンネルへの導線という役割も担っています。

Facebookでは、「信頼」や「共感」をベースにした活動報告に対するリアクションを得ることができます。震災支援活動やフードバンク活動などのボランティア活動の取組みを写真とともに投稿。また、メディアなどで「セカンドハーベストジャパン」を取り上げられた際は、お礼を添えてその記事のリンクを掲載しています。

Facebook上では人や情報のつながりが伝播していきます。例えばフードバンク活動に関心のある知り合いが情報を共有し、その知人(第三者)がセカンドハーベスト・ジャパン関心を持った場合、その第三者とセカンドハーベスト・ジャパンには、人や情報の伝播から生まれた新しいつながり(推移的な関係)が生まれます。つまり、Facebookをはじめとしたソーシャルメディアによって得た支援者は、団体(ブランド)の伝道者でもあり、潜在的な顧客として位置づけられるともいえます

ソーシャルメディアの大きな特徴であるシェア(共有)。団体の活動に巻き込む力となる、共感ベースのつながりに沿ったものといえます。それと同時に活用に際しては、迅速で「顔」の見える真摯な対応を心掛けているとのことです。運用に関わる方はITリテラシー(コミュニケーション)の維持と向上が必須と言えるでしょう。

(NPOサポートセンター インターン浅水智成

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